崖から落ちる夢を見る。
足が地面から離れて、ふわりと体が浮いて。
頭から、落ちていく。
空が遠のく、暗闇へと近づく。
どうして崖だと思ったのかは分からない。
どうして飛んだのではなく落ちたのだと、最初に思ったのかは分からない。
ただ、目覚めたときとても恐ろしかった。
夢なのに。
汗と涙が落ちた。
震える手で膝を抱き、好きなものを必死で想った。
朝の色。君の歌声。あの人の優しい笑み。
そうして思い出す。
夢の中で、何かを掴もうとしていたこと。
何だっただろう。
何かを必死で掴もうとしてた。
もう一度寝たら、掴めるのかな。
もう一度夢見たら。
それとも、もう一度眠ったら。
今度こそ、墜ちるのかな…。
[0回]